■看護師であるということへの覚悟
訪問看護師1年生の私が、初めて担当したAさんは癌終末期の利用者さんでした。
在宅療養を選んだものの「治りたい、元気になりたい」と言う気持ちが捨てきれず、私に何度も「どうしたら元気になる?」と尋ねられました。
私の頭には「医師は病気の説明をちゃんとしたのか?」、そんなことばかりが浮かんできます。
ある日Aさんは「一般論じゃなくあなたはどう思うのか、あなたが今の私 を見て思うことを言って欲しい」と私の目を見て優しく言われました。
Aさんの目は「逃げないで、在宅療養を選んだものに正面から向き合い、看護師としての役割を果たしなさい。それが訪問看護師なんだよ」と言って下さっているように思いました。
そして、未熟な私に「看護師であること」を許し、「看護師であること」の矜持を思い出させ、「看護師であること」を覚悟させてくれました。
あの日から幾年月…。
私にとって訪問看護は、ずっと続けて行きたい仕事になりました。
でも弱い私はしばしば迷い、立ちすくみ、歩みを止めそうになります。
そんな時いつもAさんが私の心に「あなたはどう思うの?」と問いかけてくれます。
目の前の人から逃げないことは苦しいことも多いけれど、逃げてしまった自分に気がついた時はもっと苦しいように思います。
訪問看護には覚悟が必要ですが、その覚悟は潔く、心地の良いものです。
覚悟をした分だけ「看護師であるということ」の喜びをかみ締めることができる仕事だと確信しています。
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